Qman's Diary

多趣味人間の備忘録

2025-12-24

ガチで誰も知らない怪しすぎる爆安VPS「InterServer」を使ってみた

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どこかのアドカレに放り込もうとしたら全然適当なアドカレがなくて普通に放流することになりました。タイトルは釣りです。

質実剛健な記事ではないので、目次から好きなところをお読みください。


AIがもたらした衝撃の出会い

いつもの癖で安いVPSを漁っていた。

別に今すぐ必要なわけではないのだが、オタクというのは安い計算資源を見つけると興奮してしまう質なので仕方ない。

GoogleやAmazonの展開する、いわゆる大手のクラウドサービスと違って、VPSはだいぶ安い傾向にある。日本だと大手のConoHaを始めとしてWebARENA IndigoやKAGOYA CLOUD VPSあたりが格安VPSとして選択肢に上がるだろうし、海外ならVultrやDigitalOceanなんて選択肢もある。

ただ、こういうところの格安VPSというのは往々にしてRAMが512MBとか1GBとかで、ディスクも50GBあれば万々歳といったありさまだ。まあ仕方ないのだが、正直Raspberry Piでも買ったほうがコスパは良いと思うので、学生の皆さんはRaspberry Piを買ったほうがいいと思う。ミニPCでもいいけど。

そういえば、自分で調べられる範囲は調べたが、そういえばAIに聞いたことはなかった。ふと思い立って、ChatGPTに質問してみた。

その結果出てきたのが、これである。

InterServer - Affordable Unlimited Web Hosting, Cloud VPS and Dedicated Servers

月額3ドル。だいぶ格安と言える。スペックはCPU1コア、RAM2GB。3ドルにしてはだいぶ頑張っていると思う。

そして、ストレージが1TB

 

1TB!!!??!???!?!!???!??!!???!!!???!??!!?

 

おかしい。明らかにおかしい。1TBなんて、格安どころか普通のVPSでもそうそう見ない容量だ。1ドル360円の固定相場制に戻っても全然戦えるスペックをしている。

あまりにもアンバランス

そもそもVPSというのは容量にあまり自由が効かず、固定で用意されているものから選ぶしかないことが多い。例として、WebARENA Indigoの価格表を挙げる。

最安プランがIPv6にしか対応していないのも、格安VPSあるある

自由に構成を変えられないから、結果としてCPU・メモリ・ディスク容量ともにバランスよく配置されることになる。CPU指向・メモリ指向・ディスク容量指向のようにどれか一つを突出させることはあるものの、この偏り方はさすがに見たことがない。

というか、そもそも極端に偏らせる理由がそもそもあんまりない。少ない部分がボトルネックになって、多い部分を活用しきれなくて無駄になってしまうからだ。

怪しすぎるVPS

情報がなさすぎる

正直、詐欺を疑った。普通に考えてこんな価格でこのディスク容量を提供できるわけがない。

ググってみたものの、まず情報がヒットしない。

さみしい

日本語の情報なんてものはないし、なんなら英語の情報すら怪しい。

Xで検索をかけてみたところ、公式アカウントの広告ポストに群がるスパムまみれだった。

InterServerに友人関係を翻弄されている人

そんな中、Redditは頼れる情報源と言えた。そこそこの数のスレがInterServerに言及していて、そしてやけに評判が良い。悪評が「カスタマーサービスが遅い」くらいしかない。うーん、スパムか?やっぱ詐欺か?

褒め言葉が直球すぎる

公式情報もチグハグ

さらに言えば、公式サイトに掲載されている情報も矛盾している

これは公式サイトのバナーなのだが……

説明文には"1TB storage for $6"と書いてあるが、その下には堂々の"$3.00 / Per Month!"の文字。どっち???

実態としては3ドルのほうが正しいのだが、説明文(とWebサイトのタイトル)は6ドルと表記されていたため、ChatGPTも当初6ドルだと思い込んでいた。ぶっちゃけ6ドルでもディスク1TBは爆安と言って差し支えないので、びっくりしながら実際にサイトを訪れてみて余計にびっくりした。

爆安の理由を探る

一応、安い理由はそれなりにある。「1TB SATA」と誤魔化すように書いてあったが、これはHDDのことだ。

実は、この会社は異常に偏った謎のVPSだけではなく、ごく普通のVPSも提供している。というか、結構いろいろなサービスを提供している。

VPSに関しては、ストレージがSSDのものが別で提供されている。こちらは40GBと格安VPSとしてはごく普通の容量を提供している(それでもかなり頑張っている方だが)。

また、データセンターが他サービスに比べて少ない。アメリカ国内のみで、それもニュージャージー州(東海岸)、テキサス州ダラス(ド真ん中)、ロサンゼルス(西海岸)の3都市だけだ。国際的なサービスは世界のいろいろなところにリージョンを持っていることが多いが、InterServerはアメリカ国内を商売の対象としているようだ。

日本から使おうとすると必然的に通信が太平洋を横断する必要がある。光ファイバー中の光速を考えると理論値でも往復に90msかかる。音ゲーで言えば判定ゆるゆるのPhigrosでもグレるくらいの遅延。え、わからない?そうですか……。

まあ、いわゆるPing値が高くなるということで、リアルタイム性の高いゲーム(Minecraftとか)はラグくなるし、普通のWebサービスであっても累積したらだんだんイライラしてくるくらいには遅延するので、日本向けのサービスをInterServerで運営するのはやめておいたほうが良いと思われる。

……と考察はしてみたが、正直、わからないことが多すぎる。ならば、自分から飛び込むしかない。虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。

使ってみた

というわけで、人柱になるべくアカウントを作り、30ドルをぶち込んでみた

ちなみにUIスクショは全部ダークモード。Settings > Account Settingsページに行って一番下までスクロールすると出てくる。アカウントの設定ではなくない?

ログインするとSecurity Alertという物騒なメールが飛んでくるが、これは毎回ログインするたびに飛んでくる。

課金方法

InterServerの課金方法はちょっと複雑だ。お金を使うアクションを起こすと、UNPAID INVOICESに追加される。それをあとから支払うという形だ。

ダッシュボードのトップ

ただ、PREPAY BALANCEという項目が示す通り、予めお金を入れておくという選択肢もある。ちなみに「お金を入れておく」はお金を使うアクションの一つなので、アカウントにお金を入れる→UNPAID INVOICESからそれを払うという流れになる。回りくどいなぁ……

ちなみにこの入れておいたお金(以下、PrePay)だが、入金時点で用途を限定できる。VPS用のお金を他で使ってしまった、なんてことが起きないようにできる。

ちなみに支払いにはPayPalが使える。謎企業にクレカ情報を渡したくない人もOK!

支払い時、本名や住所を入力するフォームが表示されるものの、全く入力しないで支払うことも可能。向こうの言い分としては入力しておいたほうがクレカの認証などで引っかからなくて楽ということなのだが、住所渡すのも怖いので……。

最低入金額は10ドル。VPS目的なら3で割り切れる12ドル入れておくのがいいかも?

VPSを作ろう

実際にVPSを立ち上げていこう。

VPSオーダー画面。ウィンドウを狭めるとレイアウトがちょっと崩れる

左上に謎のkがあるが、気にせず選んでいく。見方は以下の通り。

  • Platform: KVM、KVM Storage、HyperVの3つから選ぶ。HyperVは多分Windowsサーバーのことで、ちょっと高い上2Slice(後述)からの注文となるらしい。1TBのHDDが欲しい場合はKVM Storageを選ぶ。
  • Location: New Jersey、Los Angeles、Dallas, TXの3つから選ぶ。日本から一番近いのは西海岸のロサンゼルス。
  • Slices: インスタンスサイズ。数字に比例してスペックと価格が上がる。KVMとKVM Storageは3ドル/Slice、HyperVは5ドル/Slice。
  • Image: Ubuntu、Empty Disk、Debian、Almalinuxの4つから選ぶ。Empty Diskも気になるが今回はUbuntuを選んだ。にしてもなぜ逆アルファベット順……?
  • Version: OSのバージョン。Ubuntuを選ぶと22.04、23.04、24.04から1つ選べる。ちなみにEmpty Diskを選ぶと「1.0 64bit」という選択肢が1つだけ出てくる。
  • Root Password: 読んで字のごとく。いろいろ制限がある。ちゃんとメモっておこうね!

ところで一番上のVPS DetailsにはTransfer: 2000Gbの文字があるけどこれってギガビット?125GBってこと?ここもチグハグなのがInterServerクオリティという感じ。そもそも一般的にTransferじゃなくてBandwidthって言わない?

(※2025年12月24日時点でこのkは消えていました。流石に誰か気付いたっぽい)

そんなこんなで入力を済ませると、注文確認画面に移る。

HD SpaceとBandwidthで表記が違うのはどうなの

利用規約プライバシーポリシーを読んで同意のチェックを入れ、Place Orderボタンを押そう。

まあぶっちゃけそんなに変なことは書いてないが、アメリカ国内のサービスなのでガッツリアメリカの法律の影響を受ける。まあ、Google Driveに上げたらGoogleアカウントが停止されそうなものはやめておけばいいだろう。二次元のロリエロとか。

注文が完了すると、支払い画面に移る。

Thank you! for your order.←そんな途中で切ることある?

PrePayを買っておけば、それが使える。いかにもBilling Addressを追加しないといけなさそうな雰囲気だが、スルーでOK。

支払いを済ませたら、VPSリストに行こう。注文したはずのVPSが無くて驚くだろうが、単に準備に時間がかかっているだけなのでPendingボタンを押すと普通に出てくる。普通に5分くらい待たされるのでAWSを使い慣れた現代人は驚くだろうが、落ち着こう。これは月3ドルのVPSだ。

ちなみにダッシュボードからタイムゾーンを変えたら普通に再起動して3分くらい追加で待たされました。

ログインしよう

立ち上がったら、ダッシュボードに書いてあるIPアドレスにSSHしよう(ダッシュボードのView Desktopボタンからブラウザ上でターミナルが開けるが、実用上はどう考えてもSSHのほうがいいので)。ポートは22番、ユーザはroot、パスワードはさっきメモしたやつ。もう数え役満みたいなガバガバセキュリティなので、本当にパスワードには気をつけような。

というわけで、ログインに成功した。マジで1TBある……

なぜかOSがMinimalな方のUbuntuなので、好みでunminimizeしておくとよい。apt updateapt upgradeは適宜やろう。

それにしても、1文字1文字の入力が若干重い、というかラグい。まあ仕方がない。キーボードを打つたびに信号が太平洋を横断しているのだから。

何はともあれ、セキュリティがガバガバすぎるこのVPSを、使えるラインまで持っていこう。ユーザを作り、sshd_configでrootログインを遮断し、パスワードログインを切り、公開鍵認証を有効化する。ufwでポートを全部閉じ、SSH用と80、443だけ開ける。

セキュリティアップデートも自動化しておこう。(ChatGPTに聞いて初めて知った)

sudo apt install unattended-upgrades -y
sudo dpkg-reconfigure -plow unattended-upgrades

とりあえずはまともになったはずだ。それでもDDoSなんかかけられたら死ぬけど。

性能

sysbenchの結果はこんな感じ。といっても正直わからないが。

CPU speed:
    events per second:   792.51

General statistics:
    total time:                          10.0007s
    total number of events:              7929

Latency (ms):
         min:                                    0.98
         avg:                                    1.26
         max:                                   10.24
         95th percentile:                        1.52
         sum:                                 9989.26

Threads fairness:
    events (avg/stddev):           7929.0000/0.00
    execution time (avg/stddev):   9.9893/0.00
Total operations: 33960576 (3395171.14 per second)

33164.62 MiB transferred (3315.60 MiB/sec)


General statistics:
    total time:                          10.0001s
    total number of events:              33960576

Latency (ms):
         min:                                    0.00
         avg:                                    0.00
         max:                                    1.06
         95th percentile:                        0.00
         sum:                                 4480.05

Threads fairness:
    events (avg/stddev):           33960576.0000/0.00
    execution time (avg/stddev):   4.4800/0.00
File operations:
    reads/s:                      301.51
    writes/s:                     200.98
    fsyncs/s:                     644.07

Throughput:
    read, MiB/s:                  4.71
    written, MiB/s:               3.14

General statistics:
    total time:                          10.1332s
    total number of events:              11493

Latency (ms):
         min:                                    0.00
         avg:                                    0.87
         max:                                   57.96
         95th percentile:                        3.68
         sum:                                 9982.91

Threads fairness:
    events (avg/stddev):           11493.0000/0.00
    execution time (avg/stddev):   9.9829/0.00

CPUとメモリは、まあ価格帯としては普通といったところか。期待しすぎるものでもない。ディスクの読み書き速度もまあHDDという感じで、価格相応だ。

だが、はっきり言ってCPU・メモリ・ディスク性能が価格相応であるということがもう異常である。だってディスク容量がとんでもなく突出しているから。単に激安とか言ってる場合じゃないから、この記事のタイトルは爆安という言葉を使った。驚安だとドンキと被るかなと思って……

音楽サーバにしてみる

せっかくサーバがあるのだから遊ばせておくわけにはいかない。お金も払っているのだから使い倒させてもらおう。

Navidromeという、セルフホストの音楽配信サービスを入れてみた。通信量(というか帯域幅)を食う以上あんまりVPSに置くものではない気もするが、まあいいだろう。2TB分あるし。Raspberry Pi Zeroでも動くほど軽いらしいし。……いや軽すぎるな?どうなってるんだ?

とにかくインストールしてみて、音楽を置いてみた。

マウスカーソルの縦位置とかじゃなくてドンピシャで線の上にカーソルを置かないとツールチップが出てこなくて苦しい

地味な注意点だが、内向き・外向き通信どちらも帯域幅を消費する。大手クラウドを使い慣れていると外向き通信しか課金されないことが多いが、InterServerではそんなことはないので注意。

音楽程度なら別に引っ掛かりも感じず聴くことができた。が、Navidromeを使うほどの音楽ガチ勢の人たちが1ヶ月にどれくらい帯域を消費するのかがわからない……

まとめ

決して悪くはなかった。VPSとしてはかなり安い部類に入るし、何より容量が魅力的だ。

ただ、なんというか用途も人も選びまくる。HDDなので書き込みはひたすら遅いし、アメリカにしかサーバがないというのも日本住みとしては辛い。安く使おうとすると相応にスペックも低くなるので、何かの本番環境にはしづらそうである。

本命はやはりバックアップ環境だろうか。自分でいろいろ制御できてプログラムも走る大きめのストレージとなると、いろいろと弄り甲斐はあるだろう。ただ、AWS S3のような高信頼性は望むべくもない。

Clients are responsible for frequently backing up their files on our system. InterServer cannot be held responsible for the deletion of users' files, whether intentional or unintentional. Products such as VPS and dedicated servers do not default to running any backups and owners are encouraged to enable an automatic backup method.

InterServerはファイルが消えても責任を追わないぞ、と利用規約にも書いてある。

仮にも金を取っているサービスなのだからそう簡単にファイルが消えることはないだろうが、これを受け入れられるかどうかは要件によるとしか言えないだろう。

というわけで、この先は自分の目で確かめてみてほしい。

こちらにリファラルリンクを置いておきます。90日後、皆さんが使った金額の80%が私の懐に入るらしいです。気になる方はぜひこちらから。丁寧にPayPalでの支払い方まで書いておいたんだから、ね、ね?

https://www.interserver.net/r/1087471

いやまあ1ヶ月で鯖爆破したのでまだ27ドル残ってるんだけど、使えるお金が増えると嬉しい気持ちになるので、何卒よろしくお願いします。

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