Qman's Diary

多趣味人間の備忘録

2022-11-21 (2023-02-14 更新)

Laplacian最新作『白昼夢の青写真』プレイ感想(ネタバレあり)

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エロゲー
【注】本記事は旧ブログからの移植記事です。また、本記事は2020年9月27日に投稿されたものです。

9月25日、Laplacianの第4作『白昼夢の青写真』が発売されました。
ちょうど予約してた私のところにも届いたので、感想を綴ろうと思います。
写真はほぼないけどネタバレはバリバリにあるのでご注意を。



全体の感想(ネタバレあまりなし)

ボリュームがヤバい

実質エロゲ4本同梱ですからね…。一つ一つのボリュームはそこまでではないにしろ、4(正確には3+1だけど)ストーリーですよ?ヤバくないですか?
まあコラムで『企画当初はウキウキでそのアイデアを掘り進めていった訳ですが、 「お前それ、4つの物語を同時に立ち上げることになるの、わかってて言ってる?」と、今となっては真顔で問い詰めたい。』なんて振り返ってますからヤバかったんでしょうね… 完成して世に送り出してもらえてよかった…

キャラが喋ってる

キャラが喋るときに、口パクをするんです。割と仕掛けとしては単純な方ですが、これだけでも質感というか臨場感と言うか、空気のようなものが違うように思えました。

解像度が低い場面がある

大事なシーンで画像がアップになるときに画像がジャギってるとちょっと悲しい。最大解像度が1280×720だからってアップにしたときの画像サイズもそこに合わせちゃう必要はないと思うの…。
でもまあ、ただでさえこういうゲームは画像が多いし、仕方ないのかなぁ…と思ったりもします。同じ画像の解像度2種類用意するなんてクソめんどいし自分ならやらんしね!w
でもCASE-3は絵のタッチこそ見えるものの画質荒くなってなかった。よかった。


CASE-1の感想

あらすじ

しがない中年の非常勤講師、有島(主人公)と、作家だった父にどこか囚われている少女、凛(ヒロイン)の禁断の恋のお話です。
有島は、昔抱いていた小説家の夢を諦め、20年連れ添った妻とうまくやれておらず、ただ偶然にも関係が近い人間だった、亡くなった偉大な作家である波多野秋房の物語を読むばかりでした。
そんな中ふとしたきっかけで彼女の娘と出会うわけです。
彼女は娘でありつつも父からは住処と金しか遺されておらず、思い出といったものは全くなく、有島に父がどんな人間であったかを尋ねます。
有島から見た秋房は清廉潔白で爽やかな万能超人で、若くして非業の死を遂げた作家でした。それを聞いた彼女は彼の住処へと向かい、彼の生が詰まった部屋を主人公に紹介します。
日記を見せ、彼は『人間』であったのだと彼女は言います。そんな自己中心的な、娘を遺して自殺すらしてしまうような姿を目の当たりにして、まだ彼のことを書けるか――そう問うて、まだ彼に囚われたままと助けを希う、そういう話です。

総評

このストーリーは、CASE0-3の中で最も現代に近く、生々しさがありありと伝わってくる話でした。
諦めて、それでもどこか諦めきれない人間の姿を描き出しているように思えました。まさにそれは、なにかをやりたいと思いつつも手を出すことはできない自分の姿に重なり、少々胸が痛みました。
特に印象に残り、ゾッとしたのが、主人公が作家の遺した日記にのめり込んでいくシーンです。
自殺前からつけていた日記には、偉大な作家の面影はなく、ただ悩み、葛藤するわがままで幼稚な人間の様子がありありと描かれていました。主人公にとって近くて遠い存在だった作家がどんどん近づいてくるわけです。
彼女はあらかじめ「これは死に向かう人間が書いたものです」と警告したにもかかわらず、それでものめり込んでついには自殺未遂まで行ってしまったわけです。
なんとか立ち直ったからよかったものの、親近感に飲まれて死への道を辿らんとしたその描写がリアルで、怖かったです。

登場人物みんな良くない人間

教師でありつつ生徒に手を出す主人公、年下の作家に手を出す妻(これは推測でしかありませんが)、最期まで娘すら眼中になかった作家、世間知らずで(これは一概に彼女が悪いとは言えないけど)強情なヒロイン。
同僚の渡辺くん以外みんな悪い部分があります。清廉潔白なんて言葉とは対極にある人々が、このストーリーにリアルさと生々しさを与えていたように思います。

あと…

こういう系のエロゲでヒロインの妊娠描写あるのびっくりしちゃった…これもヒロインの後先考えなさというか意外な突っ走り感を出すのには役立ってます。

CASE-2の感想

あらすじ

貧乏な天才劇作家、ウィル(主人公)と、奇特な貴族の女の子、オリヴィア(ヒロイン)のお話です。
時は1595年イギリス・テンブリッジ。小さな売れない酒場を営むウィルことウィリアム・シェイクスピアという男がいました。
彼はものを忘れない完全記憶能力を持ち、常連から聞いたうわさ話をつなぎ合わせて物語を書き、劇団に売ることで日銭を稼いでいました。
また、彼はエリザベス1世によって弾圧されていた旧教徒(カトリック)でもあり、酒場の2階はカトリックたちの隠れた集会場になっていました。
ある日、たまたま食べた鹿肉の味が忘れられず、父親の病気もあって、鹿を盗もうと貴族の屋敷に忍び込み、捕まってしまいます。
そこで首を跳ねられそうになるのですが、隣にいた貴族の女オリヴィアに劇作家だと気づかれ、奴隷として彼女に従うことになります。
そして彼女の劇団に放り込まれながらも日々を過ごしていった彼ですが、ある時ひょんなことから当時の人気作家であるクリストファー・マーロウと対決することになってしまいます。
彼は若干諦め気味でしたが、突然常連でカトリックの司祭でもあったエドが処刑されてしまいます。
彼を密告したのはマーロウでした。
ウィルは静かな怒りを燃やし、演劇でマーロウを叩きのめすことを誓います。

総評

ストーリーの一貫したテーマが演劇でありつつ、ストーリーそれ自体も演劇の構成を踏襲したものになっています。
セリフもちょっと演劇っぽいです。多分わかってやってる。素晴らしいと思う。
悪役の一人であるスペンサーが途中この物語の構造に言及するのはメタネタでしょうか。
ちなみにストーリー自体はニュートンと林檎の樹を意識してか最後に泣かせるタイプの悲劇です。救い?そこにないならないですね…
思い出すだけでも涙ぐんでしまいます。悲劇は好きだけど好きじゃないんですが(ハピエン厨なので)、これは良かったですね…
一つ不満な点を挙げるなら、対等みたいな立場だったマーロウが一瞬で凋落して、グローヴ座が宮廷演目に選ばれる頃には顔どころか 名前すら出てこなかったのは痛快な落ちっぷりではあるものの、もうちょい描写が欲しかったですね…(感想はエピローグに続きます)

軽快なギャグ的効果が物語のテンポを上げている

オリヴィアはドSです。めっちゃウィルに平手打ちしてきます。往復ビンタもしばしば。
それもまた演劇でいう喜劇的効果、劇中で言えばトーマスが女形を演じていたのと同じような効果があったと思います。
そしてスペンサーのルー大柴みたいな英単語混じりの日本語台詞もまた笑いを誘ってきます。シリアスなシーンでも突き通してくるから、 深刻なシーンでも時々顔が緩んでしまいました。それも悪くなかったです。
それでも見境なく手は出すわ皺の一つついたら欠陥品などと吐かすわ挙げ句エリザベス女王にすら変態地主と呆れられるわでやっぱり小物感漂うのに嫌な奴でしたね…

CASE-3の感想

あらすじ

わけあって不登校の少年、カンナ(主人公)とそんなクチじゃないのに教員免許取ろうとしてる女の子、すもも(ヒロイン)のお話です。
カンナは父親に隠れて、不登校になりながらガレージで車を直さんと弄り回しています。その理由は、母が遺した車で母が撮りたかったハレー彗星の写真を撮るため。
しかし教育実習生のすももが家にやってきて、不登校がバレてしまいます。
カンナは「将来カメラマンになるから学校なんて行かなくても良い」と主張し、父親は「大学に行けば選択肢は広がる」と言います。
彼女は父親の気持ちを汲み取りつつも、やりたいことが決まっているなら学校に行かなくても良いんじゃないかと考えますが、それはそれとして教員免許を取るため、 終業式までの1週間だけでも学校に来てほしいと頼み込みます。
車を直せないと悟ったカンナは人の手を借りることにします。しかしやってきた梓姫は車を盗もうとしました。
取り返そうとした結果、彼女のアジトを爆破してしまい、彼女は主人公のガレージにこっそり住み込むことになりました。
無免許運転という弱みを握られてしぶしぶ学校に来た主人公が目にしたのはすももの壊滅的な授業でした。指導役の教員にも怒られるばかりで、彼女は孤独でした。
放課後カメラを持って廃墟に忍び込むと、そこには目一杯のおしゃれをしたすももがいました。彼女はここでしか自分を開放できないからと言いますが、カンナは彼女を写真に収め、そのほうがきれいだと言います。
最終日、彼女は教員姿ではなくおしゃれの姿でやってきました。そして自分に教員は向いてないと言い放ち、自分らしく生きようと言って教室を後にします。
当然指導役の教員に怒鳴られますが、そこにカンナが現れ「自分を登校させる」ということを果たしたのだと毅然と言い放ちます。すももは適当に謝罪を言い放ち、カンナを追いかけたのでした。

総評

これだけプレイしながら書いてるので若干時系列順になってます。
お姉さん2人に翻弄される男の子、いいですね…
そのお姉さん2人も延々と軽快で面白い掛け合いをしていて、非常に良い組み合わせだったと思います。
ゆるふわとボケつつツッコむキャラの相性、ここまでいいんですね…
ストーリー自体は全CASEの中で多分一番明るいです。だから好き。
カンナ君にはまだ若さゆえの悩みとか葛藤とかもあったりするわけですが、そんな彼がゆるふわなすももにサラッと救われる、そういう部分もいいですね。
そしてそこに至るまでに、すももはカンナに助けられてるんですよね。このお互いって感じが最高ですね。
それでも、梓姫もすももも大人なんですよね。そこにどうしようもないギャップみたいなのが感じられてしまうのもどこか悲しい。
このストーリーではカンナがめちゃくちゃ成長してるわけなんですけど、すももはすももで成長してると言うか自分が人を笑顔にする手段を見つけるんですよね。
そしてまた自分たちの道へと邁進していく。お姉さん二人に○高生、青春の物語。本当にこれ一番大好きです!!!

『未来ラジオと人工鳩』の主人公たちとの違い

これはあまり気になる人がいる話ではなさそうではあるんですが、カンナ君1タミを撮影場所としてしか認識してないんですよね。
前作主人公ズたちにとっては間違いなく悲劇の場だし、忌まわしいようなところであるはずなのに、今作ではそれが無いんですよね。
そりゃまあ、カンナ君は電波食い後の生まれっぽいからアレだけど、そういうドライな認識がなんかリアルだなー、と感じました。言うてすももだってカジュアルにおしゃれの場にしてるけど。

CASE-0の感想

あらすじ

海斗(主人公)は夢から目を覚まし、自分が記憶を失って何らかの施設にいることに気づきます。隣には白髪の少女の姿。
思い出そうとしていると、青い髪の少女、アンドロイドの出雲が現れます。曰く、ここは研究施設で、自分たちが屋外に出られるよう研究をしている。そして見ていた夢は白髪の少女、世凪を救うためのもの。
何もわからず夢を見て目覚めるのを繰り返すと、世凪はだんだんと精神的に成長していきます。そんな中で海斗自身もだんだん自分が何者であるのか勘付きます。
すべての実験が終わった後、記憶を取り戻すために出雲に連れられた部屋で、海斗は実験を企てた黒幕である自分の立体映像を目にします。
そして、今までの記憶を追体験させられ――

総評

なんというか、すごかったです。世界観の構築から、各CASEまでを拾い上げて収束させるこの手法が、一体どうして成立したのか理解できないほどに凄まじいものでした。
運命という枠の中で、悪役までもが必死に抗っていたその人間たちの心情描写は本当に真に迫るものを感じられました。
幸せ、希望からの転落、近しい人間への絶望、それでも、結局皆が希望へと向かっていった。その希望の道を開く世界観とストーリーの構築は本当に凄まじいものでした。
救いはここにあったんですね。
どうしてもこれだけは感情が大きすぎて語ろうにも語ることができません。プレイした方ならわかってくれるはずです。

世凪かわいい

CASEの合間に挟まる幼児のお遊びみたいなところで見せる無邪気で無垢な笑顔がきれい。好き。
たまにボケる海斗との掛け合いが愛おしい。壁になって見てたい。好き。

女優・出雲

世凪だけでは夢の中の人物を構築するのは難しいとなり、2人は出雲に夢への出演を頼み込みます。
それで登場したのが(メタ的に言えばCVが同じな)祥子や梓姫だったわけですが、普段の物静かな出雲からは全く想像できないようなキャラクターに二人が唖然とするのは見ていてとても面白かったです。
アレはただの演技だったのか、それとも果たして…

幸せなエピローグ

あらすじ

ふと目覚めると、彼女は海辺の小屋の前にいました。
物語を聞かされて出てきた子どもが、彼女を女神さまと呼びました。
彼女は――世凪は、物語を語り終えた男――海斗に再び会うことができたのです。
再会して、涙を流して、そして体を重ねて。
世凪は、今ならあの3つの物語の幸せなエピローグを語れると言います。
海斗はその3つの物語に耳を傾けるのでした。

CASE-1

あらすじ

夏休みが終わり、無断欠勤の叱責を受けた有島は凛に気まずさを感じながらも彼女がいる2年1組の教室へと向かいました。
すると、そこは空席でした。学食にもおらず、心配になりつつも煙草を吸っていると、渡辺が駆け込んできて凛が退学したと伝えます。
急いで早退し、凛の家に上がり込むも、そこはもぬけの殻で、彼女の手紙だけが残っていました。
文面から、有島は凛が妊娠したのだと気づきます。彼は渡辺に助けを乞うことにしました。渡辺は驚きつつも、部屋のWi-fiルーターから彼女が熱海に物件を構えにいったことを突き止めました。
有島は熱海で凛を探し当て、子を産んでほしいと伝えます。想いは凛も一緒でしたが、迷惑をかけてはいけないと一人で去ったのでした。
有島は凛に教職をやめることを伝え、結婚を申し出ます。
そして凛は作家となり、有島は編集者に落ち着きました。稼ぎは億を超え、幸せな生活が始まりました。

感想

世凪が書いた物語だからちょっとご都合主義混じってたりはすれども、あのストーリーからよくこのハッピーエンドを紡ぎ出しましたね…
素直に感心しました。きっと彼らは、幼稚でわがままで強欲で、それでも何かをやり直して幸せを取り戻すのでしょう。
それは世凪の願いでもあったわけで、今、無事に叶ったわけですね。

CASE-2

あらすじ

父とロブ、トーマスとキキがウィルの酒場でため息をつきます。
ウィルの才能は執筆のみに向いていて、相変わらず料理の腕は壊滅的。
どこからか漏れたグローヴ座の『新作』がテンブリッジの街を賑わわせていたのです。忙しくて酒場は週に1度開けるのが限度でした。
するとロブが、テンブリッジで聞いてきた噂話があると切り出します。すると他の3人もそれを知っていると言うのです。
曰く、ある酒場でクリストファー・マーロウ(と名乗る男)が宮廷演目に選ばれなかったことに怒り狂っていたそうです。
そこに心優しき貴族スペンサーが現れ、彼の美しさに魅了されたと言います。
マーロウ(?)は歴史に名を刻み込まんともはや多人数での執筆を隠そうともせず喚いていましたが、スペンサーの「MEこそが歴史だ」の言葉に、 「歴史に自分を刻みつけてしまえばいい」と考え、そして法によって重婚状態を解消されてしまったスペンサーと共に新大陸へと旅立っていきました。 ウィルは噂を疑いますが、スペンサーがいなくなったのは本当のようです。噂元を問いただすと、4人は揃って後ろにいた美麗な白髪の男性を指しました。
それは、戻ってきたオリヴィアの変装でした。
素直じゃないようなやり取りをして、最後は4人に背中を押され、ウィルはオリヴィアに結婚を申し入れ、彼女はそれを承諾したのでした。

感想

カトリックを弾圧していた、ウィルたちが憎んでいた法が、最後はオリヴィアを解放したという皮肉なオチでしたが、それでも彼らに幸せがあるならそれで良いのです。 彼らはまた、美しい物語を紡ぎ出していくのでしょう。
というかマーロウがスペンサーに連れて行かれたところのインパクトがデカ過ぎて全体の印象があんまり残ってない…
世凪曰く「恋路を邪魔するやつは退場願う」そうですが、もしかしてBLがお好きで…?

CASE-3

あらすじ

鏡の前には、ヘアメイクアーティストとなったすももと、モデルとなった梓姫がいました。
彼女たちは大成功して一時代を築き上げました。
あの夏を思い出しながら、梓姫はここへ自分たちを呼び出したカンナに思いを馳せます。
梓姫は相変わらずあの車、ハチマルで生活していました。
すももとカンナは一緒に住んでいましたが、モデルにやたらモテるカンナにすももは少し嫉妬気味。
彼は「キャンディー飴井」を名乗って、カメラマンとして大成していました。
イケてるキャメラマンになったらすももを迎えに行く、と決意してはいたものの別れた当時は電波喰い真っ最中。
連絡先を知らなかったカンナは頑張って自分の名前で写真集を出し、すももに連絡させることに成功したのでした。
そして一緒にレストランへと行き、結婚を前提とした付き合いを彼女に申し入れました。
そんな思い出を語らって、楽しい集まりも終わろうとしていた頃。
梓姫はハチマルをカンナとすももに返します。家族ができたら、ハチマルでキャンプに連れて行ったらいいと、結婚祝いだと梓姫は言いました。
そうして戻ってきたハチマルの中で、二人は体を重ね、愛を誓いました。

感想

CASE-3自体の始まりが楽屋みたいなところだったため、最初からハッピーエンドの示唆はされていたし、 元の終わり方も各CASEの中で一番前向きだったのでこれを一番楽しみにしていたと言っても過言ではありません。
そして、その期待通り、素晴らしい話でした。
まさかCASE-3の最初ですももが話してた相手が、カンナじゃなくて梓姫だったとは…
あとスペンサー嵐山が乗り移ったカンナ君だいぶシュールだった。

全体の感想(ネタバレあり)

作品に寄せていた期待のはるか上を行く、神作品と言ってもまったく過言ではない、素晴らしいものでした。
ストーリーはもちろん世界観も音楽も絵も声も、何もかもに満足できました。
もちろん上で書いたような不満点は少々あったものの、それすらも些細な問題ではないほど良いものでした。
正直、最初はCASE-1-3がメインで0は付け足しというかまとめのための設定集みたいなものなのではと疑っていた面がありました(CASE-0の設定がほとんど出てなかったことも一因ではあります)。
蓋を開けてみればそんなことはなく、濃密な世界観の上に成り立った緻密なストーリーがCASE-1-3に説得力をもたせつつ進行していました。
その意味で、期待のはるか上を行ってくれたと思います。
企画意図を読んだ時は、ぶっちゃけまったく意味がわかりませんでしたが、今なら理解できます。

素晴らしい音楽、巧みなリミックス

Laplacianは音楽にこだわるブランドだと(勝手に)認識しているのですが、発売前からその素晴らしさはずっと感じていました。
クラムボン、冷たい壁の向こうに、恋するキリギリス、Into Grayと、どれも素晴らしいオープニングでした。
一方で各CASE(0以外)のエンディングは前3作のリミックスでした。
個人的に気になっていたのがCASE-3です。原曲がWish You Were Thereという未来ラジオのちょっと暗めの曲だったので、爽やかに終わるであろうCASE-3のEDがどうリミックスされるのかが気になっていました。
結果としてアップテンポで、シンセサイザーとギターの音が夏の夜を彷彿とさせる綺麗な気持ち良い曲になっていて、驚きました。
そして幸せなエピローグ後の『Into Gray -ed edit.-』は正直不意打ちでしたが、OPの方のInto Grayのアンサーソングのような歌詞で、ストーリーを辿ったあとの私にはその歌詞がとても心に沁み入って、 鳥肌なしには耳を傾けることができませんでした。
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